【第二回】統合失調症の利用者さんの合同会議

リサーシャ
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今後について

今回の合同会議には、前回参加した某精神病院と某サポートセンターの精神保健福祉士の方、某介護サービスの介護福祉士の方が参加しました。そして、新たに就労支援施設の精神保健福祉士の方が参加しました。某精神病院の精神保健福祉士の方の報告では、日常生活に問題がないとのことでした。

某介護サービスでは、買い物補助が月に9時間つくことになりました。これは、身体の痛みなどがある際、買い物をサポートしてもらえるようになるそうです。これを聞いて、本人が喜んでいました。また、別の介護士の方に普段の食事にタンパク質が足りないことを相談し、その方に勧められたプロテインを飲むようにしていました。

当施設では、もの作りの行動や日常生活の話を伺っていました。そして、体の傾き以外、特に問題はありませんでした。また、この合同会議行う以前は、趣味に必要な買い物をリサーシャのスタッフが手伝っていました。しかし、他者との会話が少ないことに変わりありません。そこで、今後は家族や友人に依頼してもらうことを提案しました。そして、最終手段として当施設に依頼することにしました。すると、早速、家族に依頼して買い物に行ってきたようです。このことを合同会議の日に報告してくれました

この利用者さんには複数の施設の人が関わっています。そして、それぞれの施設の人から色々な助言を受けています。今回の合同会議で、その助言を日常生活に反映していることが分かりました。

この利用者さんが日常生活で何かをする上で、支障になるのが腰痛です。腰痛の原因は、過去に紹介した整形外科病院で椎間板の障害であることが分かっています。ただ、椎間板の障害による痛みが常にあるかと言えばそうではありません。痛い日もあれば痛くない日もあるようです。この件についてたまたま気になる記事があったので、以下に紹介しておきます。

長引く腰痛は「脳の働き低下」という科学的研究 ストレスやうつ、不安が引き起こす (4ページ目)
福島県立医科大学附属病院では、腰痛の心理社会的要因の有無を確かめるため、診断には画像検査だけでなく、心理テストも併用。心理社会的要因が関わっている腰痛と考えられるケースでは、整形外科と精神科が連携し…

この記事では、腰痛の痛みに「脳の働きの低下」が関わっていると紹介しています。そして、脳が痛みを感じる原因には、以下の三つがあるそうです。

  • 侵害受容性疼痛 … 感覚器からの電気信号が神経を通じて脳に送られ、その信号を脳が把握して痛みを感じる。
  • 神経障害性疼痛 … 感覚器から脳までの途中の神経の異常によって痛みを感じる。
  • 非器質性疼痛 … 脳の異常によって痛みを感じる。

侵害受容性疼痛は、身体を痛めたときに感じる痛みです。例えば、日常生活で、転んで身体をぶつけたり、包丁で指を切ったりが挙げられます。

神経障害性疼痛は、脳と感覚器を繋ぐ神経に何らかの異常が生じて感じる痛みです。今回の利用者さんはどちらかというとこれに該当するのではないかと思います。

非器質性疼痛は、脳の異常に起因する痛みです。これには、精神的なストレスやうつ、不安といった心理社会的要因が関与しているそうです。身体に痛みを感じるような傷もなく、神経にも異常がないのに、心理社会的要因によって脳の働きが低下し、脳の誤作動で痛みを感じてしまっているという感じでしょうか。

この利用者さんの場合、腰痛の基本的な痛みは神経障害性疼痛かもしれません。しかし、日によって痛みの強度が違うのは非器質性疼痛が関係しているのかもしれません。

この利用者さんは、日頃、もの作りの最中に作業内容を忘れてしまうことがあります。例えば、「最近、ぼけてきたな」や「すぐ忘れるようになった」などと言っています。年齢的なものもあるので一概には言えません。しかし、このような発言から、脳の機能低下も窺われます。以前は躁状態になると、過去に話していたことを突然思い出すことがありました。このことには、こちらが非常に驚かされます。逆に、うつ状態になると、面倒と思ったことをやりたがりません。そして、物忘れが激しいのか、ついさっきまでしていたことを忘れてしまうようでした。

では、ここ最近はうつ状態かというとそうではありません。趣味を通じて活動的になってきています。もの作りでは遅いながらも作業をちゃんと考えながら少しずつ進めています。ただ、この利用者さんは普段からお酒を飲みます。このため、以下の記事の内容が脳機能の低下と関係ないか気になりました。

アルコール摂りすぎは老ける?「日常的な飲酒が老化促進」との研究結果 | Gadget Gate
英オックスフォード大学の研究者が、アルコール摂取とテロメア短縮の間に強い関連性があることを示す研究結果を発表。アルコールがテロメアのDNAを損傷して、老化を直接的に促進していることがわかったという。

内容としては、「アルコールがテロメアの遺伝子を損傷させ、老化を直接的に促進させている」ということでした。テロメアとは、「染色体の末端にある染色体を保護する構造物」です。そして、テロメアは、細胞分裂を繰り返す度に短くなっていきます。ある程度短くなると染色体を保護できなくなります。最終的に細胞分裂ができなくなる細胞死に関係しています。そして、ある一定の量を超えたアルコールの日常的な摂取がテロメアを損傷します。この損傷が細胞の老化を速める可能性があるそうです。

確かに、いつ頃からかは定かではありません。しかし、以前に比べると、ふらふらと歩いているようです。作業中の姿勢も悪く、動きに切れがなくなったように見えます。とは言え、過去に喫煙と飲酒を同時期に止めて日頃の楽しみがなくなったためか、うつ状態になり、最終的に薬を飲まなくなって再発したという経緯があります。本人なりに飲酒の量は抑えつつあるので、本人の判断に任せることになりました。

この利用者さんの今後の予定としては、就労支援を継続して現状を維持しつつ、適度に無理のない範囲で趣味も継続していくことになりました。趣味を適度に無理のない範囲でというのもおかしな話ですが、この趣味は自宅ではできないので外に出ないといけません。

以前は、ほぼ毎日、午前と午後に外に出ていました。当時、私たちはこの状況を好ましいものと考えていました。しかし、結果的には病気が再発してしまったので、ひょっとしたら腰痛もあるので、毎日2回の外出は身体に相当な負担だったのではないかと思います。経済的にはまだ問題はないとのことなので、焦らずに少しずつ環境や生活習慣を変えていけば良いのではないかと思います。

 

 

最後に

今回の合同会議では、新たに就労支援施設の精神保健福祉士の方が参加しました。一度は就労支援施設の利用をやめるという話が出ましたが、本人の意思で今後も続けることになりました。今の就労支援を継続することは今後の本格的な就労への道に繋がるのではないかと期待しています。

一時期は上半身の傾きが心配になりました。計測したデータの変化から、この身体の傾きは、刻印を打つ木槌の振り幅とゴム板への衝撃に影響しているように見えました。身体の傾きに気付き始めてから振り幅も衝撃も低下していきました。ところが、趣味に関係する商品の購入を手伝ったあたりから、身体の傾きが改善されました。この理由として、商品の購入を手伝って以降、趣味に関わる外出が増えたことが考えられます。

腰痛は神経障害性疼痛が主な原因だと思いますが、日によって痛みが強くなったり弱くなったりしています。このことから、非器質性疼痛も関係しているのではないかと思われます。趣味の活動が増えてからか、毎週のように訴えていた腰痛もあまり聞かなくなりました。この理由として、先に紹介した腰痛の記事に認知行動療法の一環として趣味などの好きなことに関心を向けさせることで腰痛に何らかの改善が見られたとあります。ひょっとしたら、この利用者さんも趣味の活動によって腰痛以外に意識が向けられ、その結果として腰痛が改善されているのかもしれません。

趣味の活動は、身体の傾きと腰痛を改善しただけではないようです。毎日の飲酒に関しても変化が見られました。趣味の活動を始める前は、主に毎日のように日本酒を飲んでいました。ところが、その後は缶チューハイに変わり、飲む量も平日は減らし、休日に増やすというように変わったそうです。本人なりに飲酒も気にしているようで、減らすようには考えているようです。

喫煙はもう1年以上も止めており、出来れば飲酒も止めた方がQOLを向上する上で良いと思うのが普通だと思います。しかし、代わりになる楽しみがないうちにこれまでの楽しみを全て一度にやめると状況が悪化することをこの利用者さんの再発から学びました。今は趣味と飲酒を楽しみにしてもらい、将来的には飲酒を別の楽しみに変えていければ無理なく飲酒をやめれるのではないかと思います。

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