2020年度金沢市希少伝統産業木竹専門塾作品展

もの作り
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9月5~13日まで 2020年度金沢市希少伝統産業木竹専門塾作品展 が金沢市立中村記念美術館の旧中村邸で開催されています。今回は、木工塾では第7期生の卒業展として開催されます。展示場では、完成した作品だけでなく、製作途中の作品も展示しており、製作工程などを見ることも出来ます。

 

 

 

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はじめに

今回の卒業展は、木工と竹工の合同開催となるため、2020年度金沢市希少伝統産業木竹専門塾作品展となりました。

金沢市希少伝統産業木工専門塾は、金沢漆器の木地を製作する指物をはじめとし、木工の技術継承と後継者育成を目的として金沢市によって開設されています。
木工専門塾は、1期が3年で、毎週土曜日の午後1時から金沢市民芸術村の金沢職人大学校で開かれています。

木工専門塾が開設されてから、現在の塾生が第7期生の3年目となり、今年で21年目となります。
現在の塾生は、12名おり、中には2期・3期と続けている方もいます。
年に約54回開かれる木工専門塾で一つの作品を完成させるには半年(約27回)から1年(約54回)掛かる場合があり、順調に進んでも1期で作れる作品は3つ程度になります。
最初の1年目では、鑿(のみ)で彫る刳物(くりもの)の盆を作製します。
2年目では、鋸(のこぎり)や鉋(かんな)で加工した板を組み合わせる指物の盆を作製します。
3年目では、刳物や指物の盆で習得した技術を応用して指物の箱を作製します。
基礎的な技術を習得し、さらに自分が作りたいものを作れるようになるには2期・3期と続けることになります。

現在の木工塾の受講可能期間は、1期が3年間、2期が6年間となり、最長は3期の9年間までです。
週1回の木工専門塾で作品展が開催できるのも、約21年という長年の開設期間の賜物です。

 

 

2020年度金沢市希少伝統産業木竹専門塾作品展

2020年度金沢市希少伝統産業木竹専門塾作品展 は、9月5~13日まで金沢市立中村記念美術館の旧中村邸で開催されています。
開催期間中は無休で、入場料は無料です。

開催時間は、初日の9月5日が13:00から16:00、通常の4日から12日が9:00から16:00、末日の9月13日が9:00から14:00までとなっています。
初日の開始時間と末日の終了時間が通常と異なるので、注意が必要です。
今回の展示会は、7期生が3年間の受講期間を修了したので、卒業展として開催されています。
卒業展ではありますが、作品の製作工程を知っていただくためにも、製作途中の作品も展示されています。
作品以外にも製作に使用される様々な種類の木や道具、また製作過程を表すサンプルも展示してあります。
土曜には刳物や指物の実演も行っているので、興味がある方は土曜日に訪れると良いかもしれません。

また、今年はコロナ禍での開催であるため、ご入場の際には必ずマスクのご着用、ご入場時の検温と手指のご協力をお願いいたします。

 

 

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展示作品について

今回、当施設のスタッフが展示する作品は、過去に金沢市工芸展に出品して入選した作品に加え、製作途中の作品もあります。

第74回金沢市工芸展

第75回金沢市工芸展

第76回金沢市工芸展

製作中

第74回金沢市工芸展の作品名は、タモ拭漆小箱(たもふきうるしこばこ、タモは木偏に弗)です。
この作品の大きさは、幅8cm×奥行8cm×高さ5cmです。

第75回金沢市工芸展の作品名は、栃縮杢拭漆銘々皿(とちちぢみもくふきうるしめいめいざら)です。
大きさは、幅9.8cm×奥行9.8cm×高さ1.3cmです。

第76回金沢市工芸展の作品名は、楓鳥眼杢拭漆八角小箱(かえでちょうがんもくふきうるしはっか
こばこ)です。
大きさは、幅8.8cm×奥行8.8cm×高さ6.3cmです。

今回の作品展でも、ホビー用の電動工具を使用して、製作中の木工作品も展示しています。

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最後に

木工専門塾の最長受講期数は3期(1期3年)で、最長受講年数は9年になります。
私は今回で3期が終了しますが、1年の体験期間を含めると、約10年間通っていました。
10年通っていたとはいえ、回数で言うと約480回で、1年4か月ぐらいにしかなりません。
それでも、刳物や指物はある程度作れるようになり、道具の手入れもそれなりにできるようになったと思います。
これは、木工専門塾講師の福嶋則夫先生に丁寧に何度も教えていただいたからです。
週一の講義では、メモを取っていても、もの作りでは言葉での説明が理解できない場合もあり、翌週には忘れてしまうことがあります。
この結果、忘れたり、理解できなかったりしたときは、福嶋先生には何度も質問させていただき、その都度、実際にやって見せてもらいました。
福嶋先生が何度聞いてもしっかり答えてくれるのは、木工の技術を残していきたいという熱意の表れだと思います。

 

木工専門塾は木工の技術継承と後継者育成を目的としています。
しかし、残念なことに、実際に木工職人として仕事が出来ている塾生は極少数です。
塾生の多くは、別の仕事をしつつ、限られた時間の中で木工の技術を磨いています。
木工専門塾で木工の基本として学ぶ刳物を専門とする職人は石川県内では既にいないそうです。
それでも、今回も、塾生が作製した数多くの刳物が展示されています。
今回の展示会は、第7期生の卒業展でもあり、中には私のように5期・6期・7期と再受講して最長の3期まで受講し、今期で卒業する方もいます。
過去の卒業生の中には、工場(こうば)を持って必要な設備を揃え、金沢職人大学校にある設備を頼らなくても、木工作品を製作できる方もいます。
しかし、卒業する全ての人が工場や設備を揃えることができるわけではありません。
金沢職人大学校にある木工作品の製作に必要な設備は、卒業と同時に使用できなくなります。
これは、3期の9年間の間に、県や市の工芸展、現代美術展などで木工芸の周知に貢献してきた卒業生でも例外ではありません。
私の場合、この3期の間に、卒業した時のことを踏まえて、ホビー用の電動工具でどこまで作れるかを試してきました。
指物を作るにあたっては、ホビー用の電動工具に合わせた治具の作り方を福嶋先生にご指導していただきました。
その甲斐あって、サイズは小さいですが、指物としての皿や箱を作れるようになりました。

 

木工では、必要な杢目を得るために、大きな木材を加工する必要があります。
この加工には、電動カンナや昇降盤、帯鋸などの大きな機械を用います。
鋸や鉋を用いれば、当然、人力でもこの加工は可能ですが、時間と手間が掛かり、その時間と手間を作品の値段に加算すると膨大になってしまいます。
また、個人で木工が出来る設備を用意するとなると、機械の購入やその機械を設置する広い場所が必要になるため、実際にはかなり難しいです。
これらの理由から、木工専門塾を卒業した後は多くの塾生が木工を辞めてしまうというのが現状です。
残念ながら、私もこの10年という受講期間の中で、今ある道具を使って大きい木材を加工する方法を見出すことはできませんでした。
しかし、ホームセンターにある加工された板材を利用すれば、ある程度のサイズの木工作品を製作することも可能です。
木工塾に入塾した目的は、リサーシャで木工を評価課題にするにあたり、まず刃物や電動工具などの道具を安全に使用するノウハウを知るためでした。
また、可能であれば、木工塾で学んだ技術をリサーシャの利用者さんに教えられるようになることも目的でした。
これらの目的を達成する上では、大きな木材を加工する方法を見出せなかったことは特に問題ではないと思います。
この10年、木工専門塾で学んできた伝統工芸の技術を今後のリサーシャでのもの作りの評価課題に活かしていきたいと思います。

 

今回の展示会で第7期は終了しますが、既に第8期生の募集が行われています。
申し込みに必要な資料は、展示会の開催期間中は会場の受付で一部配布しています。
また、金沢市の公式ホームページにある以下のサイトから入手することもできます。

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書類の応募締め切りは、10月7日(水)に必着だそうです。
選考は書類と面接で行われ、面接は10月中旬に金沢職人大学校で予定されているそうです。
興味のある方は公式ホームページにて詳細を確認していただけたらと思います。

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