2018年度長町会館文化祭

雑記
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2018年度長町会館文化祭 が11月3日から4日まで開催されました。去年と同様、今年も当施設の利用者さんが作製した作品を展示させていただきました。今回出品した作品は、革細工やフェルト手芸よりも、織物が圧倒的に多かったです。この理由も含めて、紹介できたらと思います。

 

2018年度長町会館文化祭

 

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2018年度長町会館文化祭

去年の長町会館文化祭に引き続き、今年も作品展示に出品させていただきました。

3日から4日までの間、長町会館周辺の町内会から出品されている作品は、書・日本画・洋画・彫刻・手芸・編物・生花、ちぎり絵・陶芸・写真など様々な作品が置かれています。

また、今年は北陸農政局の展示で、「明治150年~稲作と食文化そして七ヶ用水の変遷~」という題でパネルが展示されており、どのように用水が整備され、それとともに農業や食がどう変わっていったかを知ることができます。

4日は13時から15時半まで、以下の催し物が行われています。

 

  • 相撲甚句
  • ヨガのワンポイントレッスン
  • 少林寺拳法
  • ノワールバレエ
  • 太極拳
  • 自彊術(じきょうじゅつ)教室
  • フォークダンス教室
  • 獅子舞
  • ビンゴゲーム

 

長町会館文化祭の主な売店のスケジュールは、以下の通りです。

 

  3日 4日

喫茶コーナー

10時~ 10時~14時
炭火焼コーナー   10時~14時
朝市 10時~  
バザー 10時~ 10時~

 

初日は、売店で日用雑貨や生鮮野菜、おはぎなどが販売されていました。

今年は、日用雑貨でコーヒーセットを購入させていただきました。

二日は、売店の内容が変わり、生鮮野菜から焼き鳥や焼きそばなどに変わりました。

また、2階ではコーヒーやシフォンケーキ、おでんなどが販売されていました。

2階の喫茶コーナーも3日と4日で販売内容が変わります。

3日は、コーヒー・おはぎ・おでん・シフォンケーキ・味噌・歯舞早煮昆布が販売されていました。

4日は、コーヒー・きなこもち・おたのしみの少連スイーツ・うどん・母さんの味ごはんが販売されていました・

また、炭火焼コーナーでは、焼きそば・フランクフルト・焼き鳥・ジュースなどが販売されていました。

4日の炭火焼コーナーでは焼き鳥と焼きそばを購入させていただきました。

 

 

当施設の出品した作品について

去年の出品作品は、フェルト手芸が多く、織物や革細工、ボンボン手芸が一部でした。

今年は、ボンボン手芸がなくなり、フェルト手芸も減って、若干のクロスステッチ刺繍と、織物が圧倒的に増えました。

2017年度長町会館文化祭
2017年 2018年

当施設には、統合失調症・うつ病・双極性障害・不安神経障害・自閉症など脳に何かしらの障害のある方や、あるいは診断名の付かない方がもの作りを通じてカウンセリングを受けに訪れます。

当施設に訪れる利用者さんの多くは、最初の課題として革細工を選択されます。

このため、利用して日が浅い人は革細工を行うので、出品する作品も革細工がほとんどになります。

革細工の場合、片方の手で刻印を抑えて、もう片方の手で木槌を持って、刻印を打つという動作が基本になります。

ただし、刻印を打つ力を調節しないと、革に穴が開きますし、図柄を浮き立たせるために力の強弱が必要になります。

あと、実際には、その前に革を切って、図を写してということもします。

しかし、それすらも嫌がる場合もあるので、その時は刻印を打つだけにします。

また、刻印の打ち間違えも、刻印を打ち直したり、染色したりすることである程度修正できます。

織物の場合、木枠に張られた糸(経糸)をすくい板で上下に交互にすくい、そこに毛糸を通します。

織る図柄が複雑だと、すくう経糸も交互ではなく、複雑になっていきます。

糸をすくうという動作は単調で、毛糸も通すだけで、一見、革細工よりも簡単そうに見えます。

しかし、実際にはどの経糸をすくうかを考えなければいけませんし、間違った経糸をすくって毛糸を通すと図柄をきちんと織ることができません。

図柄がきちんと織れない場合はやり直しが必要になります。

やり直しも、強引に毛糸を引っ張ると、経糸がゆがんだり、ちぎれたりするので、慎重に行う必要があります。

このため、当施設の利用者さんには、織物は革細工に比べて、単調で単純な動作のため、地味に面倒くさいもの作りと思われています。

ところが、利用者さんの目的が社会復帰に向かい始めると、それまで嫌がっていた織物に興味や関心を示すようになります。

今年は、復職した方や就職活動をしている方、去年に引き続いて就労支援に通い続けている方、これから就労支援の利用を目的にしている方が北欧織りをしているため、作品も北欧織りが多くなりました。

つまり、それだけ社会復帰に近づいている人が増えているということが言えます。

 

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作品以外の変化

当施設では、独自に開発した計測器で北欧織りの動作を記録し、何回織ったかなどを記録しています。

そして、織った回数の変化などから、その時の精神状態や体調、職場や他施設での状況を確認しています。

 

上記で紹介したうつ病で復職した方は、織物の形がちょっとでも気に入らなかったりすると、意見を求めずに自分でやり直しをします。

そして、仕事でも、職場に復帰したしばらくの間は、仕事を全て自分でこなそうとしたり、何かしらのやり直しをしたりして、仕事が中々進まないようでした。

そして、仕事が進まないことを気に病んだりして、再発の危機に直面する場面もありました。

織物の取り組み方と仕事の取り組み方に中々妥協できないという共通点がありました。

そこで、織物を通して、まず作品にちょっとした歪みがあってもある程度は妥協するように促しました。

次に、職場でもある程度妥協する方法として、同僚に任せられる仕事は任せて、無理な残業はしないように促しました。

ただ、自分でも北欧織りで見られる傾向を仕事に当てはめて、対策を考えていたようです。

しかし、生活の中で起こった出来事に北欧織りの行動が影響を受けるので、回復にはまだまだ時間が掛かりそうです。

 

双極性障害と発達障害を持つ方は、勤めていた職場が閉業したので、再就職するまでに障害の影響を明らかにしたいということで、織物に取り組むことになりました。

今回の織物を通して分かったことは、まず分からないことは聞かずに自己判断で進めてしまうということです。

これは、前職でも似たようなことをして叱られることが多かったとのことです。

次に、面倒なことは強引に進めようとすることでした。

織り方を間違った場合、やり直しをする必要があります。

そして、通常は、やり直しの際、織り間違えた糸を何かに巻き取って絡まないようにします。

ところが、この方の場合、糸を巻き取ることすら面倒臭がって、結果的に外した糸が絡まり、絡んだ糸をほどくのも面倒になって、最終的には糸を切ってしまいました。

また、ポシェットは、同じ模様の織物を2枚作ります。

今までにポシェットを作ってきた人は1枚目を作ったら、その1枚目をお手本にして、出来るだけ同じ模様になるように確認しながら2枚目を作ります。

ところが、この方の場合はそういう確認を一切せずに2枚目を作ってしまいました。

今後の課題として、まず織物で、分からないことをちゃんと聞けるか、面倒なことでもちゃんと取り組めるか、確認を怠らずにできるかが焦点になると思われます。

 

統合失調症から双極性障害へと診断が変わった方は、就労支援に通い続けています。

織物を始めた当初は、地味で単調な作業のためか、途中でタバコを理由にサボることが多かったです。

そして、就労支援も自分には合わない、仕事の内容が単純でつまらないなどと言って休むことも多かったです。

しかし、現在では、織物を頭を抱えながらも続けるようになり、作業中にタバコを吸いに行くこともなくなりました。

就労支援も今では決められた日に通うようになっています。

 

20年近く引き籠っていた不安神経障害の方は、これからの社会復帰を目指し、織物に取り組むようになりました。

その前までは、自分が興味を持ったことややりたい事をやっていました。

しかし、社会では、自分のやりたくない事も繰り返さないといけない場合があるので、まずその訓練として織物をすることが目的です。

物覚えが良く、手先も器用なので、今のところは順調に課題を進めています。

過去には、当施設には数か月に1回しか来れなかったのが、今では週3回通うことを目指すようになっています。

また、今まで続けていたフェルト手芸はそのまま家でも続けており、幾つかの作品を試しに販売してもらいました。

その結果、僅かではありますが、作品を買ってもらうことができました。

皆さん、織物に取り組む目的は違いますが、社会復帰に向けて着々と進歩しています。

ただし、1名を除いては、多くの人がここまで変化するのに3年以上を費やしています。

しかし、当施設を利用されている方の中には、数年かけてもまだまだ変化しない方も当然おられます。

そして、変化しない人は基本的には、当施設に通う以外にほとんど外に出ません。

同じ引き籠りでも、外に出る方と出ない方では変化の速度が全く違います。

今回、織物に挑戦し始めた20年以上引き籠っていた方は、最近では外出が増え、新しい事にも挑戦し、もの作りもどんどん進めていきます。

逆に、数年間引き籠っていた方は、頭の中で色々考えて新しい事にも中々挑戦しないせいか、もの作りも中々進みません。

どちらも先の事をあれこれ考えるということは共通しています。

しかし、片方は色々考えて最終的に開き直ってやってみるという感じですが、もう片方は色々考えてやりもしない内から無理・無駄と考えて何もしないという感じです。

頭の中で考えても最終的にはやってみなければ分かりません。

この考えを分かっていても、実践できるかどうかが今後の鍵になるのではないかと思います。

そうは言っても、徐々に自分の好きなことを続け始めているので、実践できるようになるのも時間の問題かもしれません。

 

 

最後に

今年の展示した作品は織物が多かったです。

これは、社会復帰した、あるいはこれからしようとする人が増えたからです。

では、なぜ、社会復帰しようとする人が増えたのかというと、金銭的不安があることが大きいと思います。

医療保険が適用されないため、当施設の利用料金はその他の医療・福祉施設に比べて高いと思われがちです。

過去に当施設を見学に来られた方の多くが利用料金を理由に施設利用を断念しています。

だからと言って、当施設に来られる方が裕福かというと、決してそうではありません。

皆さん、常に何かしらの金銭的不安を抱えています。

 

うつ病で復職した方は、当施設に通える時には通って、計測データから自分の体調を確認しています。

これは、再発の繰り返しによる、自分の能力低下を実感したことが一つの理由として挙げられます。

次に再発した場合、自分の能力がどの程度低下するかは予測できません。

場合によっては、仕事が全くできなくなってしまう恐れもあります。

そうなると、収入がなくなってしまいます。

 

双極性障害と発達障害がある方は、失業後に当施設以外にも職業訓練を行う施設に通っていました。

職業訓練施設の中には利用料金が必要ない所もあるので、場合によっては当施設の利用をやめても良かったと思います。

それでも、当施設を利用し続けた理由は、「もの作り」の行動を数値化して、自分の状態を見えるようにしてくれる所は他にないということでした。

その後、この方は、この記事を書いている間に無事に再就職しました。

 

統合失調症から双極性障害へと診断が変わり、就労支援に通われている方は、再発を繰り返した結果、入院費などで貯金残高が数百万から数千円にまで減ってしまい、生活保護を受ける寸前になりました。

それでも、現在は障がい年金とご家族からの仕送りを合わせて何とか生活されています。

就労支援に通われているのも、出来るだけ自分の力で生活できるようになりたいという思いがあるからです。

過去に再発した時の兆候は、当施設で行っている「もの作り」の行動を数値化した結果にも現れており、再発する前に何度も忠告しました。

当施設では3回再発しており、3回とも行動異常として、もの作りのデータに現れています。

そして、その3回とも忠告後に問題を起こして強制入院しています。

生活費には若干の不安がありながらも当施設に通い続けているのは、再発を予測したことが大きいかもしれません。

 

不安障害で引き籠りの方は、ご家族から通帳の預金残高を見せられ、それでも当施設に通うために今までの自分の貯金を切り崩してまで当施設に通っています。

しかも、過去には数か月に1回しか通うことが出来なかったのが、現在は週3回も通うようになっています。

 

くどいようですが、当施設に来られる方は決して裕福ではありません。

そこで、少しでも節約できるようにクレジットカード払いによる節約方法や、その他の節約方法も紹介しています。

そして、当施設の利用者さんが変化するまでに数年を要しており、社会復帰までにあとどれくらい掛かるかは予測できません。

それでもいつか社会復帰できるように出来る限りの支援をしていけたらと思います。

利用者さんの変化が作品に現れてきているので、来年はどのように変化するか楽しみです。

場合によっては、何名かは当施設を巣立っていくかもしれません。

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