第5回 家族会 [いじめと怠け癖に見られる共通点]

リサーシャ
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   第5回 家族会 を昨日, 行いました. 仕事の都合などで参加者の入れ替わりはあったものの, 今回も前回に引き続き, 6名でした. お子さんに似たような境遇を持つご家族が参加されたので, 共感しあえる情報があったのではないかと思います.

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第5回 家族会 の話題

   今回の家族会で最初に話題になったことは, 病気か病気でないかの判断が分からないということでした. その理由として, お子さん自身がやりたいことはやるけど, やりたくないことはやらないという振る舞いが見られるからでした. 確かに, 趣味に熱中したり, 行きたいところには行けるのに, やりたくないであろうことをさせたり, 行きたくないであろう所に連れていこうとすると途端に調子を崩してしまうというのは, 傍から見れば, 仮病や我儘のように思えても仕方のないことだと思います. また, 日頃何もせず, ゴロゴロばかりしていると怠けているように思えて, 病気として受け入れがたいのも仕方のないことだと思います. 今回の家族会では, それらのことに関する不満が何名かのご家族から訴えられました.

 

第5回 家族会

photo by みこcamera

 

各家族に見られる共通点

   このようなご家族の話を伺ってみると, 一つの共通点があるように思えました. それは, お子さんが過去に同級生や教師からの「いじめ」を経験しているということでした. そして, これらのお子さんの当施設での行動を見ると, ある共通点が見えてきました. それは, もの作りを始めても中々続かないということです. 当施設では, 革細工の作品を簡単なものから複雑なものへ段階的に変えていきます. そして, 大抵の利用者さんは, 段階的に作品作りを進めていきます. ところが, 「いじめ」を経験している利用者さんは, 作品作りを途中でやめたり, 革細工以外のことに興味を示してもちょっとやってはすぐにやめてしまうなど, 時間や手間が掛かることを面倒くさがってすぐに諦めてしまい, 一つのことに中々従事できないという傾向が見られます.今回参加されたご家族のお子さんの中で, この傾向が見られるのは6名中3名で, その3名が皆、「いじめ」を受けていたというのは驚きでした.

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げっ歯類のうつ病モデル作成方法

   ところで, ネズミを用いた, うつ病のような精神疾患モデル動物を作成する方法として, ネズミにとってストレスになるようなことを繰り返し経験させる方法があります. 例えば, 水を張ったバケツの中にネズミを入れると, 最初のうちはバケツから逃げ出そうともがきますが, 時間の経過とともに逃げ出そうとする時間が徐々に短くなっていきます. また, この経験を何回も繰り返すと, バケツに入れても逃げ出そうとすることがなくなります. これは, ひょっとしたら逃げることが無駄であるということをネズミが学習したのかもしれません. 人間でも, 「いじめ」を日常的に受けていた場合, 当然, それがストレスとなります. 「いじめ」を受けていたお子さんの中には, 抵抗したことで報復され, 何かしらの対策を講じることも諦めてしまった方もいました. これは, 「いじめ」に抵抗することが無駄ということを学習した結果かもしれません. 自分ではどうしようもできない「いじめ」によるストレスを受け続けることは, ネズミのうつ病モデルを作成する方法に類似するのかもしれません.

 

 

最後に

   今回の家族会を通して見えてきたことは, 当施設を利用しているお子さんの中には物事を持続できないお子さんがおり, そのお子さんに共通していることが「いじめ」を経験しているということでした. 諦めやすく, 持続性がないのは, 一見, 我が儘で怠けているように見えますが, その背景には「いじめ」により「すぐに諦める」ということを学習してしまったことがあるのかもしれません. 学習によって身に付いてしまった習慣は学習によって修正しなければなりません. 学習による修正は, 学習すべきことを提示するタイミングやそのことに本人が気づけるかどうかという運任せな部分もあるので, 時間が掛かります. ご家族がこのことに気付き, お子さんの変化を辛抱強く待てるかどうかが, 病気改善の鍵になると考えられます.

 

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